Archive for November, 2015

チコのブック・レビュー 『金持ち父さん、貧乏父さん」Rich Dad, Poor Dad

Saturday, November 28th, 2015
『金持ち父さん、貧乏父さん』ロバート・キヨサキ+シャロン・レクター

『金持ち父さん、貧乏父さん』ロバート・キヨサキ+シャロン・レクター

「世の中には二つのルールがある。金持ちが使っているルールと、残りの95パーセントの人が使っているもう一つのルールだ。家庭や学校で教えられているのは、この95パーセントが使っているルールだ。」(ロバート・キヨサキ)

ロバートの原稿をまとめたシャロン・レクターは、前者を「ひたすら安全のみを求める道」、後者を「『お金に関する才能』を目覚めさせる道」と要約している。

ロバート・キヨサキは、ビジネス経営をしながらハワイ一の富豪になった親友の父親(rich dad)と、 高い教養を持ちながらもお金に苦労した実の父親(poor dad)から、お金に対するアドバイスを得ながら育った。

二人のアドバイスは対極にあった。例えば、

「金持ちはお金に困っている人を援けるためにもっと税金を払うべきだ。」vs.「税金は生産する者を罰し、生産しないものに褒美をやるためのものだ。」

「一生懸命勉強しろ、そうすればいい会社に入れるから。」vs.「一生懸命勉強しろ、そうすればいい会社を買うことができるから。」

「この家は私たちにとって最大の投資であり、最大の資産だ。」vs.「この家は負債だ。持ち家が自分にとって最大の投資だという人は大いに問題がある。」

という具合だ。ロバートはそのギャップの大きさに当惑しながら、自分の取るべき道を模索していった。

アメリカの金持ちはどんどん富を積ね、貧富の差が拡大していった。学校ではお金のことを教えてくれなかった。ロバートは二人の父親のお金に対する考え方のギャップの挟間で、悩んだ。彼の行きついたところは、金持ち父さんのアドバイスだった。彼はお金を自分のために働かせるように努力した。金持ちのルールを使って47歳で退職した。

ロバートは私たちがファイナンシャル・インテリジェンスFinancial Intelligence(お金に関する知識)をしっかり学ぶ必要性を説く。この本の中には、それを会得するメソッドがぎっしり詰まっている。

お金の教育は、学校ではなく家庭で行われる。95%の家庭は、昔からのお金のルールを子どもたちに教えている。金持ちになるには、5%(もう一つ)のルールを学ぶ必要がある。家の食卓を囲んで子どもたちとお金や税金について話そう。ルールは若い時に知れば成功率が高い。しかし、年齢に関係なく、金持ちのルールを会得することはできる。

ルールを知らずに、プレーはできない。

千津子

チコのブック・レビュー 『青い目の債権取り立て屋奮闘記』Steven Gan

Saturday, November 28th, 2015
『青い目の債権取り立て屋奮闘記』スティーブン・ギャン Steven Gan

『青い目の債権取り立て屋奮闘記』スティーブン・ギャン Steven Gan

ステラ・リスクのスティ―ブン・ギャン氏に依頼されて書いたブック・レビューをリンクします。

ブック・レビューを読む

千津子

チコのブック・レビュー『時が滲む朝』楊逸 Yang Yi

Thursday, November 5th, 2015
『時が滲む朝』Toki ga Nijimu Asa

『時が滲む朝』Toki ga Nijimu Asa

『時が滲む朝』楊逸(ヤン・イー)著

中国民主化運動に参加した学生たちと運動主唱者の教授を天安門事件前夜から2000年まで追った物語。

時は1988年、浩遠と志強は中国西北部の大学に合格し、将来への希望を膨らませていた。文学部の甘教授の講義が学生たちの間で評判になっていた。教授は中国民主化運動の推進者だった。浩遠と志強はデモに参加するようになり、そこで教授の傍らにいる英露に惹かれるようになる。1989年、北京の天安門事件の後、教授は家族を置いて国外脱出、英露は行方不明になる。浩遠と志強は事件後、小料理屋で泥酔した挙句いざこざを起し、3か月の拘留、退学となる。エリートから「農民工」に堕ちた二人。浩遠は中国残留孤児の娘と結婚して日本に移住。日本で中国民主化運動を続けながら、甘教授と英露の行方を調査する。一方志強は中国に残り服飾デザイン分野で活路を開く。

中国現代史に興味のある人にお奨めの小説です。1989年の天安門事件を皮切りに、孫文、蒋介石、魯迅、劉胡蘭等の名前を織り込みながら香港返還、北京オリンピック選考等に触れている。また、主要登場人物を日本、アメリカ、ヨーロッパに走らせて、中国を外から見つめさせている。1989年東欧の民主化にも触れて、それを中国の民主化運動と読者をして比較せしめている。中国詩やシェリーの詩、テレサ・テンや尾崎豊の音楽を挿入することにより、ストーリーを効果的に和らげている。

中編小説なのでキャラクターや事件構築面で深みを欠いていることは否めない。また、主要登場人物4人以外の影の薄さも気になるところではある。しかし、すっきりとしたストーリーの流れがそれを相殺している。

中国の改革運動は一昔前とは随分変わった。浩遠の父は1957年の「反右派運動」の煽りを受け、北京大学卒業直前に西北に下放された。息子の浩遠は、1989年の天安門事件を経て20世紀も終わりに近づいた頃、在日中国人として隣国日本で民主運動を続けている。本書から在日中国人の運動への興味は下火になってきていると読み取れる。1990年代に日本で生まれた浩遠の子どもたちは、もう大学に行く年頃。彼らは中国をどのように見ているのであろうか?

千津子